読みどころ
年末年始、実家に帰省するなど、ご家族で集まることになると思います。そういうときこそ「家族会議」を開いて相続の準備を進めていく、、、という話はよく聞きます。とはいえ、実際のところはなかなか実行できないし、うまくいかなかったぁということも多々あります。失敗しない「家族会議」のポイントをお伝えしたいと思いますので、どうぞご一読ください。
全ての方
年末年始の家族会議のすすめ
-家族が集まる今だからこそ、相続について話し合おう-
はじめに
年末年始は、普段離れて暮らす家族が集まり、久しぶりにゆっくり話せる貴重な機会です。このタイミングを活かして、相続について話し合う「家族会議」を開いてみてはいかがでしょうか? 相続は避けられない家族の課題でありながら、なかなか話題にしづらいテーマでもあります。けれども、家族会議を通じて共通認識を持つことは、後々のトラブルを防ぐ大きな一歩となります。
相続に関する話し合いを早めに始めることで、家族全員が納得できる形で将来を見据えることができます。また、相続の準備は、親世代の思いを次世代に伝える貴重な機会でもあります。年末年始の家族会議を通じて、相続というテーマをポジティブにとらえ、家族の絆を深めるきっかけにしてみましょう。
家族会議を開くメリット
では、相続について話し合う「家族会議」を開くメリットはなんでしょうか。 いくつか挙げてみましょう。
早めに家族で話し合うことで、財産や分配に関する誤解や不安を取り除けます。特に、相続内容について聞いておきたかったことを確認することができ、ずっと抱いていたモヤモヤを解消することができます。
家族全員が納得感を持って相続に臨めるようになり、後々のトラブル防止につながります。具体的には、親の思いを共有することができていれば、遺産分割の指針ができ、遺産をどのように分けるか意見の対立を回避することにつながります。
相続というテーマを通じて、家族間の理解や協力が深まる機会にもなります。家族会議が、普段話しづらいテーマについて正直に話し、その思いをお互いに伝えることで、信頼関係を再確認することにつながります。
相続というテーマについて家族会議をすることで、相続だけでなく高齢化や医療・介護に関する備えなど、なんとなく気になっていたことについても話し合うきっかけになります。これにより、幅広いテーマについてモヤモヤが解消され、長期的な安心感を得ることができます。
このように、相続をテーマとした家族会議を開くことでたくさんのメリットを得ることができます。
家族会議で話し合うべきこと
相続をテーマにした家族会議を開くとして、具体的にどのような内容を話し合うとよいのでしょうか。
財産の全体像をリスト化する
相続における第一歩は、対象となる方の財産の全体像を明確にすることです。所有している土地や家、預貯金、株式など、家族全員が把握することが大切です。よくあるのが、お父さんのものと思っていた不動産がおじいちゃんの名義のままだったなど、思っていたことと事実が違うということがあります(この場合は、お父さんの財産とみることができず、おじいちゃんの遺産分割という問題を解決する必要が出てきます)。最近では「わたしの財産リスト」という形で財産を整理していく方法がおすすめです。財産のリスト化は、話し合いを円滑に進めるための基礎資料にもなります。リスト化によって、家族全員が現状を共有しやすくなり、必要な対策を考えやすくなります。
家族の希望を共有する
財産の分け方・引継ぎ方について、家族がどのように考えているかを共有しましょう。たとえば、家を引き継ぎたい人がいるのか、現金で分割を希望するのかなど、それぞれの意見を出し合うことで、全体の方向性が見えてきます。家族それぞれの価値観や希望を尊重することで、合意形成が進みやすくなり、相続に関する納得感が生まれます。
遺言書について話す
遺言書は、相続のトラブルを防ぐ有力な手段です。親世代がまだ元気なうちに、遺言書を作成する必要性を認識してもらうことも大事なテーマです。遺言書があることで、親の意向が明確に伝わり、家族間の誤解や争いを避けることができます。
認知症への備え
高齢化が進む中、認知症のリスクを考慮した成年後見制度や家族信託などの財産管理の仕組みについても検討しておくと安心です。将来的な判断能力の低下に備えることで、スムーズな財産管理や相続手続を実現できます。
相続税対策について
財産の内容によっては、相続税が発生する場合があります。事前に相続税の影響を理解しておけば、節税の対応もできますし、納税を踏まえた対応もできます。たとえば、生前贈与や生命保険の活用は有効な対策になりますが、早めに対応することで絶大な効果を生み出すことができます。必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。
争族対策について
相続は時に家族間の争いを引き起こす要因となります。このような相続をめぐる家族どうしの争いを「争族」と表現します。特に、遺産分割の方法や財産の価値に関する認識の違いがこの「争族」を招くことがあります。親世代の意向を明確にしておくことや、専門家を活用して不明な点や疑問点を解消しておくことで、争族となるリスクを最小限に抑えられます。
家族会議のポイント
家族会議を円滑に進め、意義のある話し合いとするためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
財産の全体像を把握するために、対象となる方の協力が得られるようであれば、家族会議までに現時点での財産リストを作成しましょう。家族会議の時間短縮にもなりますし、相続税や遺産分割について具体的な対策を検討していくには、ぜひとも必要な情報になります。家族会議までにリスト化ができなかったり、家族会議でリスト化を完成させられなくてもかまいません。家族会議では、財産をリスト化していくという方向性を決めて、少しでも着手できれば第一歩としては十分です。
対象となる方の相続人は誰なのかを明らかにすることは重要です。相続人の数によって相続税の基礎控除額が変わりますし、遺産分割の方向性や内容も変わってくるでしょう。相続人が誰かなんて明白だと思われると思いますが、そうとは言えない場合もあります。いわゆる隠し子のケースだけでなく、兄弟など相続人となりうる人がすでに亡くなっている場合、その子どもが相続人になるのか、など意外と判断が難しいケースもあります。家族会議によって、相続人を明確にできない事情が明らかになる場合もあります。そのような事情が明らかになり、家族で共有できれば第一歩として十分です。
財産のリスト化や相続人の明確化だけでなく、家族で話し合った内容は簡単なメモでもかまいませんので記録として残しておきましょう。これにより、後から確認することができ、家族の誤解を防ぐこともできます。その記録を家族全員に共有することもできれば、合意内容の透明性を保つことができます。
家族会議の切り出し方
ここまで、相続をテーマとした家族会議について説明しましたが、よく相談されるのが「家族会議の切り出し方」です。お父さんの相続についてずっと気になっているが、そのことをお父さんにどのように切り出したらいいのか、という相談です。
この相談をされた際の回答としては、
「相続以外の理由を持ち出しつつ相続の話題に触れてみる」
「自分たちよりもその人の思いを大切にしたいという気持ちを伝える」
「決して無理はしない」
というこの3点をお伝えするようにしています。
そろそろ何かしなくては、と思ってはいるけど…
相続以外の理由を持ち出しつつ相続の話題に触れてみる
相続の話だけで切り込んでいくと、「遺産(お金)のことばっかり気にしてぇ」とか、「私が死んだときのことばっかり考えてぇ」、など気が重くなる反応が返ってきて、そこから話を進めにくいこともあります。
そこで、本人の健康上の理由であるとか、対象の方の身近で葬儀があったなど、相続以外の話題を切り口に話を進めるのが経験上無難な切り出し方だと思っています。著名な方がお亡くなりになったニュースから、財産がたくさんあるやろうから相続も大変なんちゃう、といった話を持ち出して、そこから自分たちの相続の話題に入ってみるのも効果的です。
誰に何を相談したらいいのか分からない。
自分たちよりもその人の思いを大切にしたいという気持ちを伝える
遺言書も何もなく家族の話し合いだけで遺産の分割を進めていく際に、家族を悩ませるのが「本人の意思(思い)はどうだったのだろうか」ということです。実家は長男に継いで欲しかったのではないか、預金は最期まで面倒を看た二女に多く分けて欲しかったのではないか、などです。この悩みは、家族で分割を終えた後も残る場合もあります。
そこで、たとえば、お父さんの財産を私たちにどうしてほしいか、お父さんの思いを教えてほしい。お父さんのその思いを大切にした引き継ぎ方をしていきたい。このような気持ちをまずは本人に伝えるようにしてください。
本人を外して自分たちだけのことを考えている、というような誤解を与えてしまうと、その誤解はなかなか解くことができません。本人の思いを大切にしたいという家族の思いをストレートに伝えてください。
そろそろ何かしなくては、と思ってはいるけど…
決して無理はしない
また、絶対このタイミングで家族会議を開くんだという意気込みは持たず、この話題にこだわることをしない、ということも重要です。相続の場面では、これまでの関係性や感情が反映されることが多くあります。理屈抜きの感情のみで発言されているようなこともあり、誰かの感情が爆発してしまうと関係の修復が難しくなってしまいます。このタイミングしかないということはありませんので、家族間で違和感が生まれそうなら、この話は踏みとどまるという決断も重要だと思っています。家族会議は1回で終わるものではなく、慎重に少しずつ何回かに分けて進めていくものだという認識で臨んでいただければ、家族の納得と合意も得られやすくなります。
最後に
相続の話題は、重く感じるかもしれませんが、家族が集まるこの時期こそ、話し合うひとつのタイミングです。大切な家族の未来を守るためにも、年末年始の家族会議をぜひ検討してみてください。ただし、無理は禁物で、家族の中で違和感が生まれそうなら、今回はここまでと割り切って、次のタイミングを考えるようにしましょう。本人や家族どうしの関係性はもちろん、人によって性格も違えば、その日の気分も影響します。絶好のタイミングはいつ訪れるかわかりませんが、話し合いの準備と切り出し方の心構えがあれば、そのタイミングを逃すことはない、そう思っています。
話し合いの準備や家族会議の内容などで困ったことがありましたら、当クラブの無料相談も活用ください。LINEでの相談も受け付けております(少し返信が遅くなる場合もありますが年末年始も対応いたします)。
今回は以上になります。
今年最後の投稿になりますが、10月からスタートして3か月、このクラブをきっかけにご相談をいただいたり、ご依頼をいただいたりしました。始めるまではどうなることかと不安ではありましたが、少しでも会員の皆さんのお役に立てているようでうれしく思っております。
来年は、無料相談会を実施するなど「相続迷子」をなくす取り組みを発展させていきます。来年も投稿を継続していきますので、どうぞご一読下さい。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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