読みどころ
認知症で銀行口座が使えなくなる「財産凍結」の恐怖。それを防ぎ、本人の暮らしを守る「成年後見制度」の仕組みを徹底解説します。「元気なうちの備え(任意)」と「困った時の対策(法定)」、それぞれのメリット・デメリットを理解しておきましょう。
親が認知症気味で、銀行口座の凍結が心配な方
「将来、誰に何を頼むか」を今のうちに決めておきたい方
成年後見制度の費用や注意点を正しく理解したい方
家族間の財産トラブルを未然に防ぎたい方
認知症による「財産凍結」を防ぐ!家族のための成年後見制度ガイド
はじめに
新年を迎え、皆様いかがお過ごしでしょうか。
冷え込む日々が続きますが、ご家族皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
さて、今回は相続対策の土台とも言える「認知症対策」についてです。特にニュースなどで耳にする機会は増えたものの、「実はよく分かっていない」という声を多く聞く「成年後見制度」。「メリット」だけでなく、利用前に知っておくべき「デメリット」も多い制度です。後から「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、初心者の方にも分かりやすく制度のメリット・デメリットを解説します。
事前に対策を講じることで、ご自身とご家族の安心を守りましょう。

成年後見制度とは?「判断能力が不十分な方を守る盾」
成年後見制度とは、認知症や精神障がいなどによりご自身の判断能力が不十分になった方(本人)を、法律的に支援し保護するための制度です。
預貯金の管理や不動産の売買といった財産管理
介護サービスや医療に関する契約・手続き
この制度を利用しないと、認知症になった方の財産(預貯金など)が凍結され、家族であっても勝手に引き出したり、介護のための自宅売却手続きを進めたりすることができなくなってしまいます。
なぜ「財産凍結」を防げるのか?
銀行が口座を凍結するのは、本人の「意思」が確認できず、トラブルが起きるのを防ぐためです。成年後見制度を利用すると、裁判所から「法的な代理権」を持つ後見人が選ばれます。銀行はこの後見人を「公認の代理人」として認めるため、止まっていた預金の引き出しや契約手続きが再びできるようになります。
通常であれば凍結されてしまう財産も、後見人が代理人と認められることで、本人に変わって管理を続ける事ができるのです。
混同しやすい「法定後見制度」と「任意後見制度」
成年後見制度には大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。
| 法定後見制度 | 任意後見制度 | |
|---|---|---|
| すでに判断能力が不十分になった後 | 制度開始のタイミング | 判断能力が十分なうち (事前に契約) |
| 家庭裁判所 | 誰が後見人を選ぶか | 本 人 (将来の備え) |
| すでに困っている人を守る | 目 的 | 将来に備えて自分の意思を反映させる |
このうち、認知症対策として最も重要なのが、将来に備えて自分で決める「任意後見制度」です。

「法定後見制度」のメリットと注意点
すでに認知症などで判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所が後見人を選ぶのが「法定後見」です。
法定後見制度は、本人の判断能力が失われた後に始まる制度だからこそ持つ、強力なメリット【取消権】があります。
取消権
後見人が選任されると、本人が認知症になった後に単独で行った不利な契約(例:悪徳商法による高額な商品購入や詐欺的な投資契約など)を、後見人が取り消して無効にすることができます。
これは、不当な契約から本人を保護するための、法定後見制度の最も重要な役割の一つです。
やめられない一度始めると、本人が亡くなるまで原則として終了できません。
選べない裁判所が選ぶため、親族ではなく面識のない専門家が選ばれるケースが多いです。
節税不可相続税対策(贈与など)は、財産を減らす行為として裁判所がまず認めません。
費用負担専門職が選ばれると、月々2~6万円程度の報酬が一生発生します。

ちなみに、もし家族が後見人に選ばれたとしても、裁判所の監督下に入ることになります。「いつ、何に、いくらお金を使ったか」を細かく記録し、通帳のコピー等と共に定期的に裁判所へ報告しなければなりません。これが家族にとって非常に大きな事務的負担となるケースが多いようです。
「任意後見制度」のメリットと注意点
まだ判断能力が十分なうちに、将来の管理者を「自分で選んで契約」しておくのが「任意後見」です。
自分で選べる子どもや信頼できる専門家など、誰に任せるか100%自分で決められます。
オーダーメイド「この施設に入りたい」「自宅は売らないで」など、細かい希望を契約に盛り込めます。
費用の安心実際に判断能力が下がるまで(発効するまで)は、報酬などのランニングコストがかかりません。
取消権がない法定後見と違い、本人の失敗した買い物を取り消す権限はありません。
監督人への報酬制度が始まると、後見人をチェックする「監督人」への報酬(月1~2万円程度)が必ず発生します。
契約外のことはできない任意後見人の権限は、契約書(公正証書)に記載された「代理権の範囲内」に限定されます。契約書にない手続きや支援は行うことができません。

任意後見が始まると、必ず「任意後見監督人」というチェック役が裁判所から選ばれます。
報酬が発生しますが、「任せた人が勝手にお金を使っていないか」を専門職が厳しくチェックしてくれるため、財産の使い込みなどのトラブルを防ぐことができ安心です。
【比較表】どっちがあなたにベスト?
判断能力が不十分になった時点で法定後見制度しか選べない制度ではありますが、そうなる前に「どちらの制度を選ぶべきか」あなたの考えや状況を踏まえて、どちらがよりベストな制度なのかを見極めましょう。
| 法定後見制度 | 任意後見制度 | |
|---|---|---|
| 判断能力が不十分になった | 本人の 状態 | 判断能力が十分ある |
| 緊急に財産管理が必要 | タイプ | 自分の将来を自分で決めたい |
| 既に認知症が進行し、今すぐ財産管理の代理人が必要な方。詐欺や悪徳商法による不利益な契約の取消しが必要な方。相続人の中に判断能力がない方がいるご家族。 | 環境 ・ 状況 | ご自身の意思を将来にわたって確実に反映させたい方。 最も信頼できる人を後見人として指名したい方。独身・おひとり様で、将来の財産管理・生活支援を専門家に任せたい方。 |

まとめ
成年後見制度は、判断能力を失ってから慌てて利用する「法定後見制度」よりも、元気なうちに自分の意思を形にしておく「任意後見制度」のほうが、ご自身にとってもご家族にとっても、より「自分らしい」暮らしを守ることに繋がります。
「うちはどっちの制度がいいの?」「もっと自由度の高い方法は?」と迷われた方はぜひ一度、当事務所の「かがわ相続ガイド」までご相談ください。メリット・デメリットを天秤にかけ、ご家族に最適なプランを一緒に考えさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は、もう一つの強力な認知症対策である「家族信託」について詳しくお伝えします。お楽しみに!
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